「よそ者を排除しようとする生体に有利な現象」のことです。
私たちの体は、生まれつき自分の体内にあったもの(自己)と、そうでないもの(非自己。外部から侵入してきたよそ者)を識別できる能力が備わっています。
そして、非自己が体内に入ってくると、これを識別して、体外へ排出しようとします。
たとえば、細菌やウイルスなどは非自己ですから、これらが体内に入ってきたときには識別され、体外へ排除しようとする機構が働きます。この働きが免疫です。
「非自己に対して異常に過敏に反応してしまう、生体に不利な現象」のことです。
本来は生体の自然な反応でありながら、それが病的症状として現れるものをいいます。
たとえば、ある薬を飲むと皮膚に発疹ができる人がいます。この場合は、その薬が抗原となっています。体は、抗原に対して抗体を作ります。そして、次に同じ薬を飲んだときに抗原抗体反応を起こすわけですが、この反応が異常に過敏なとき、発疹という症状を現します。これが薬物アレルギーです。
アレルギーには大きく分けて、四つの型があります。
その型によって起こるアレルギー症状が異なります。
●I型アレルギー
I型アレルギーによって起こる疾患には、花粉症、気管支ぜんそく、じんましん、食物アレルギー、ペニシリンショックなどがあげられます。これらのI型アレルギーによる疾患は、アレルゲンとなる物質が目や鼻やのど、消化管の粘膜などから侵入し、血液中の抗体と反応したあとすぐ、あるいは数十分のうちに症状が出てくるという特徴があります。
●II型アレルギー
溶血性貧血、不適合の輸血の際に起きる副作用が代表的なものですが、ペニシリンなどの薬物アレルギーもこの型によるものがあります。
●III型アレルギー
III型アレルギーの代表的な病気には、血清病や糸球体腎炎などがあげられますが、薬物アレルギーでも同じような症状が起こることがあります。
●IV型アレルギー
代表的なものは、ツベルクリン反応です。ツベルクリン液を皮内に注射すると、すでに結核菌の感染を受けている人では、感作されたTリンパ球と抗原であるツベルクリン液の間に抗原抗体反応を起こし、皮膚にその反応が現れます。髪染色剤や金属などによるカブレで起こる接触皮膚炎は、この型に属します。
花粉症もいろいろな種類がありますが、特によく知られているのがスギ花粉による花粉症です。スギによる花粉症は最近爆発的に増えており、年々増加する傾向にあります。これには、スギ花粉の絶対量の増加も一因となっていますが、食生活や大気汚染などが生体に悪影響を及ぼし、アレルギーにかかりやすい体質という土台を作り上げていることも見逃せない重要な原因であると考えられます。
鼻と目の症状です。鼻粘膜は赤く充血し、鼻汁にはアレルギーを代表する好酸球が多数見られます。目は常にむずがゆく、充血したり、涙が出たりします。全体に首から上が常にうっとうしく、一日中ボウっとした感じがとれません。味覚や嗅覚がなくなったり、ひどい場合は咳や呼吸困難も訴えます。
例年、花粉症が出るとわかっている人でも、実際は症状が出てから治療を始める人が多いのですが、アレルギー性鼻炎あるいは花粉症が発症する少し前から、抗アレルギー剤の内服を始めたほうが予防につながります。最近では、眠気の少ない抗ヒスタミン系統の抗アレルギー剤が出てきており、活用されております。