佐野虎ノ門クリニック

港区西新橋でアレルギー性疾患、ぜんそく、咳の治療を行っています。

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ぜんそく
(気管支ぜんそく)

【ぜんそくとせきぜんそく】

ぜんそく

気管支の慢性アレルギー性炎症による疾患です。
ぜんそくは長年、発作性の疾患と考えられていましたが、近年、気道の慢性のアレルギー性炎症疾患であることが分かってきました。ぜんそくという病気の落とし穴は、発作が起きているときは病院に駆け込むほど苦しいけれど、いったん治まってしまえば通常の生活に何の支障もないことです。だから多くの人は発作がなくなると、ぜんそくが治ったと思って治療を止めてしまったり勝手に薬の量を減らしてしまいます。
しかし最初は軽症であっても、治療を怠ると、悪化と改善を繰り返しながら10年、20年と長い期間を経て、肺の機能が低下したり重症化したりします。難治性のぜんそくにまで悪化すると、一生涯にわたってクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)は損なわれ、通常の社会生活が送れなくなるばかりでなく、発作を起こして死に至ることもあります。
ぜんそくが自然に治るケースは、成人の場合にはまれで、1割以下と言われていますから、いずれにしても根気の良い治療の継続が必要となります。

せきぜんそく

通常のぜんそくとは異なりますが、同じような治療が必要になる「せきぜんそく」という病気が最近増えてきています。
「せきぜんそく」の代表的な症状は、2週間以上も続くしつこい「空ぜき」です。そのほか、寒暖の差でせきが出やすくなる、昼間は長話や電話をするとせき込んだり、のどが渇いたりイガイガした感じを覚える、夜中から朝方にかけて激しいせきが出て目覚める、といった特徴があります。
ぜんそくとせきぜんそくの共通点は、気道にアレルギーによる炎症が起きている点です。ただ、ぜんそく特有のゼイゼイ、ヒューヒューといったぜん鳴や粘り気のある”たん”が見られないため、多くの人はかぜと間違えてしまいます。治療せず放っておくと、ひどくなって本格的なぜんそくに移行してしまう危険性がありますので注意しましょう。
また、かぜなどで気道がアレルギー性炎症を起こすと、「せきぜんそく」を発症しやすくなります。そのため、かぜを引かないことが第一の予防です。万が一発症しても日本アレルギー学会専門医や日本呼吸器学会専門医が、病状を丁寧に診断した上で治療に当たらせて頂きます。せき止めの効かない「空ぜき」、あるいは「たんがらみのせき」が続くときは、アレルギー科や呼吸器内科を受診しましょう。

ぜんそくの症状

せきやたん、ぜん鳴、呼吸困難などです。
気管支が狭くなって呼吸がしにくくなる病気です。
典型的な症状は夜半から朝方のせきやたん、ゼーゼー、ヒューヒューなどのぜん鳴が起こる、呼吸困難になるなどで、これらが確認されれば、ぜんそくと診断できます。
しかし、ぜんそくは症状が多様で、せきだけが出る「せきぜんそく」をはじめ次のような症状もあります。
●たばこの煙、香水の強い匂いが嫌いで、せきが出たり息苦しくなる
●長話や電話、寒暖の差で症状が出る
●胸や気管部が痛む

ぜんそくの症状を悪化させる誘因

ダニやほこり、花粉、たばこの煙などです。
ぜんそくの患者は、慢性的に気管支に炎症があるため、気道が敏感です。
ですから普通の人にとっては何でもないようなたばこの煙や強い刺激物、臭い、冷気にも過敏に反応するのです。たばこの煙や臭いだけでなくダニやほこり、カビ、ペットの毛、花粉などのアレルゲンが気道に入ることによって好酸球や肥満細胞などの炎症細胞からヒスタミンなどの刺激性の物質が出て、症状を悪化させます。
また、症状悪化の誘因として挙げられるのが過労です。とくに女性の場合、家事や育児、仕事との両立で症状が悪化するケースが多くあります。

ぜんそくの検査

問診や呼吸機能で気管支の内径の変化などを調べます(息苦しさ、ぜん鳴の有無)。

典型的な症状がそろって見られる場合の診断は困難ではありませんが、一般に発作が治まっている状態の無症状期をはさんで繰り返すことが多く、日中に外来を受診する際には、ほとんど症状がなく診断に苦慮することもあります。

検査は次のように行います。
●問診‥‥‥‥‥‥‥ 症状や睡眠障害の有無などを聞く(息苦しさ、ぜん鳴の有無)。
●肺機能検査‥‥‥‥ ぜん鳴や呼吸困難は気道が狭くなることによって生じるので、気管支の狭窄の程度を呼吸機能で調べる。
●気道過敏性の亢進‥ さまざまな刺激に対して気管支が敏感に収縮するので、その程度を調べて診断する。
●気道炎症の存在‥‥ 喀たん中または末梢血液中の好酸球数などが高値かどうかを見て、気道の慢性的な炎症の有無を調べる。
●類似疾患の除外‥‥ 例えばぜん鳴を伴う心不全や肺水腫、慢性閉塞性肺疾患、気道内腫瘍、喉頭がん。
発作性の呼吸困難が起こる自然気胸、過換気症候群、肺血栓塞栓症。
3週間以上持続する慢性のせきが出る肺結核、肺がんなど、あらゆる類似疾患の可能性を除外するためにそれぞれを判断するための検査を行う。
⇒主にレントゲンによる検査、血液ガス分析による検査、内視鏡による検査。

ぜんそくの治療法

吸入ステロイド薬を中心に継続して治療していきます。
治療法も一時的に「発作を鎮める」のではなく、発作の起きていないときも「気道の炎症を鎮めて発作が起きないようにする」方法へと変化しています。ぜんそく治療に用いられる薬剤は、主に吸入ステロイド薬、吸入B₂刺激薬に代表される気管支拡張薬、抗アレルギー薬などです。
吸入ステロイド薬は、直接気管支に広く到達して炎症を抑えるため、微量で作用が働く薬剤です。ステロイドというだけで恐がる人もいますが、内服ステロイド薬とは違い、全身性の副作用の心配はほとんどありません。ぜんそくの症状の改善と発作の予防にとても有効な薬剤なので、継続して使用しましょう。作用が現れるまでに3~4日かかるので、注意が必要です。
一方、吸入B₂刺激薬は即効性はありますが、この薬剤のみに頼っていると受診の遅れで、ぜんそく死を引き起こしかねません。薬剤治療のほか、ピークフローという器具を使って、吐き出した呼気の最大流量を計り、ぜんそく日誌をつけることで自分の状態を把握することも必要です。

質問のこたえ

子どものぜんそくの特徴は?
低年齢化と患者数増加の傾向が見られます。
子どもがかかる小児ぜんそくは以前に比べて低年齢化し、患者数も増加しています。増加の原因は大気汚染や食品添加物など、生活環境の変化と考えられています。早い場合は、生後2~3力月からぜんそくと診断されることもあり、2歳以下の発症が全体の50パーセントに達するほど低年齢化は進んでいます。一般に両親の遺伝的体質を強く受ける傾向にあり、両親ともぜんそくやアレルギーを持っている場合はぜんそく発症の確率は高く、片親の場合は少し低くなります。また、家族に喫煙者がいる場合、ぜんそくの発作を起こしやすいといわれています。子どもの場合は、親の管理下にあり、発作が起きても十分に安静に保つことができるために小児ぜんそくの約6~7割は、12~13歳頃に肺が成長するとともに症状も少なくなり、そのまま無症状に。しかし、残りの3~4割は思春期ぜんそく(13~18歳)や成人ぜんそくへと持ち越されていきます。思春期になり、親の手を離れて薬を自分で管理するようになると、治療がおろそかになり、重症化し、心身の成長や就学に支障をきたすことも多いので、注意が必要です。
大人のぜんそくの特徴は?
7割は大人になってから発症します。
成人ぜんそくはその7割が大人になってからかかります。多くは40~50歳頃に発症し、まれに80代になってから発症する人もいます。残りの3割のうち2割は、小児より思春期ぜんそくを経て持ち越されたケースで、1割はいったん治まっていた小児ぜんそくが、かぜでひどくせき込んだり、無理を重ねて疲労した後などに再発するケースです。大人の場合は、経済的に一家を支えたり、家事や育児に追われて忙しかったり、社会とのかかわりのなかで、自分でコントロールできない環境にあることが原因で、一度悪くなると悪化の一途をたどり、短期間で重症化するケースが多いのも特徴です。喫煙者の発症も多く、肺気腫などの併発による重症化も見られます。また、成人ぜんそくになる人は、花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー体質があり、いろいろな物質にアレルギー反応を起こします。このアレルギーの原因が分かっている場合を「外因性ぜんそく」、分からない場合を「内因性ぜんそく」といいます。このほかにも、ディーゼルの微粒子、排気ガスや職業性の粉塵などが多い劣悪な環境での仕事に従事している人がかかる「職業性ぜんそく」もあります。
ぜんそくかどうかの判断基準は?
夜半から朝方にかけての息苦しさやぜん鳴やせき。
初期の場合はせきやたん、鼻水など一見、かぜと同じような症状なので、ぜんそくとは思わずに放っておいて、ある日、強い発作に見舞われることも少なくありません。夜半から朝方にかけて出るせき、たん、息苦しさ、ゼーゼーやヒューヒューなどのぜん鳴があれば、ぜんそくの可能性が高い。また、ぜんそくの患者さんの約75パーセントが花粉症やアレルギー性鼻炎などを持っています。アレルギー性鼻炎は数年から数十年たって、ぜんそくに移行することも多いので、用心することも大切です。
急に発作が出たときの対処法は?
程度が軽くても注意して様子を見る。
小発作では、吸入B₂刺激薬を吸入します。1時間に3~4回使用して治まらなければ、速やかに病院で受診してください。中発作以上になったら、夜間の場合も躊躇せずに救急車を呼びましょう。たびたび、発作を起こしている患者さんは「何とかなるだろう」「明日、病院に行けばいい」と思っている人が多いようですが、受診の遅れが原因で死に至るケースも少なくありません。よく様子を見て、迅速に行動を起こすことをおすすめします。
ぜんそくを悪化させないための生活法は?
増悪因子を取り除き、しっかりと自己管理を行い、たとえ発作が起きていなくても、日頃からピークフローを用いて自分の気道の状態を知るようにしたり、薬を続けて良好な状態を保つようなコントロールが必要です。生活環境や生活習慣も次のような点に気をつけましょう。
●床はほこりを取り除きやすいフローリングが好ましく、こまめに掃除機をかけ、3~4日に1回は、一畳あたり30秒ほどかけて丁寧に拭き掃除をする。
●ダニなどが発生しやすいカーペットや布製のソファ、ぬいぐるみなどは避ける。
●寝具は、ダニが通過できない高密度繊維のカバーやシーツで覆うのが良いです。それができない場合には1週間に1回、カバーをはずして寝具の両面に丁寧に掃除機をかける。
●枕は洗える素材のものを選び、カバー、シーツ、タオルケット、毛布など、こまめに洗濯。
●室内ではペットを飼わない。それができない場合は、患者本人ではない人がペットのシャンプーと十分な掃除や換気を行う。
●かぜを引かないように、人混みを避け、うがいや手洗いをし、予防接種を受ける。
●過労やストレスを軽減するために十分な睡眠と休養をとる。
●禁煙する。患者はもちろん、周りの人も同じ室内では吸わないなどの配慮を。ぜんそくは、種々の増悪因子や症状があるので、病気の特徴と治療の意味を患者自身がよく理解し、長い将来を考えて治療を頑張っていくことが大切です。
ひどくせき込みますが、長引くかぜだと思っていたら、ぜんそくと診断されました。これまでぜんそくの気は一切なかったので、腑に落ちません。薬物治療をしていますが、治療が難しいと聞かされ、とても不安です。(東京都/F・Sさん 33歳)
ぜんそくは子どもの病気、あるいは子どもの頃に発病する病気と考えている人が多いようですが、最近では大人になってから発症するぜんそくが増えており、成人のぜんそく患者の7割は大人になってから発症しています。 発症のピークは50歳前後。なかには80歳になってから発症する人もいます。
ただし、発症にはアレルギーや気道過敏症などの体質の変化が深くかかわっており、そこにかぜや過労、ストレス、喫煙、大気汚染、ダニ・カビなどに由来するアレルギーの原因物質に起因する、などの種々の要因が複合して発症に至ります。
かぜなどのウイルスが原因となってぜんそく発作を起こすことはありませんが、かぜを引いた後、1~3週間もせきが続くようなら、思い当たる素因がなくても、ぜんそく性の検査を受けておきましょう。
ぜんそくの発作は、空気の通り道である気管支周囲の筋肉の収縮や粘膜のむくみ、粘液の過剰な分泌によって空気が通りにくくなったり、通らなかったりすることで起こります。
症状は、せきやたん、ぜん鳴(呼吸するとゼイゼイヒューヒューいう)などが起こり、息が苦しくなり、重症の発作では死に至ります。
炎症を鎮めるためには、ステロイド吸入薬をベースに、気管を広げる薬とアレルギーを抑える薬を併用します。
発作のあるときとないときでは服用する薬が異なります。発作予防には気道の炎症を抑える薬(吸入ステロイド)を、発作時には気道を広げる薬と重症発作では経口、点滴ステロイド薬を使います。
ぜんそくは慢性的な病気なので、とくに大人のぜんそくでは自分勝手に治療を中止すると再発します。治療が難しい病気ですが、医師の指示に従い、発作を起こさない治療を継続すれば、普段の生活を続けることができます。
『けんぽニュース』2006年秋
ぜんそくを抑えるには?
従来の発作が出たときに気管支拡張薬などで鎮める治療だけではなく、 今は吸入ステロイドを使い気道の炎症が悪化しないように抑える治療と組み合わせて 発作を繰り返さないようにし 炎症の悪化を防ぎ、ぜんそくの重症化を予防します。薬を重症度に合わせ正しく使い、誘因を避けるなどの日常生活に気をつければ、ぜんそくはコントロールでき、薬を減らすことも可能です。
吸入ステロイドって副作用はないの?
吸入ステロイドは正しく使えば肺の局所のみに作用し、ステロイドの量も微量となり血液中に入ることはないため、副作用の心配はほとんどありません。自分ではちゃんとやっているつもりでも 正しく吸入できていない人もいますから、ぜんそく治療に詳しい医師に、薬の使い方や使い分けを 指導してもらうことが大切です。